育成就労制度 解説
監理支援機関になるための条件とは?
許可要件を7つの観点から
完全解説
育成就労制度において監理支援機関として活動するには、主務大臣の許可が必要です。 本記事では、法第25条・第26条および関係省令にもとづく許可基準を、実務に即した視点でわかりやすくまとめています。
許可基準の全体像
以下の6つの要件をすべて満たし、かつ欠格事由に該当しないことが許可の条件です。 許可後も基準を維持し続ける義務があり、違反した場合は許可取消しの対象となります。
- ①法人形態 ― 非営利法人であること
- ②業務遂行能力 ― 受入れ企業数・職員数・相談体制
- ③財産的基礎 ― 債務超過でないこと
- ④個人情報保護 ― 適正管理規程の整備
- ⑤外部監査 ― 独立した外部監査人の設置
- ⑥適正遂行能力 ― 中立性・事業所・運営規程
- ✗欠格事由 ― 刑罰・処分歴・暴力団等に非該当
①
法人形態に関する要件
法第25条第1項第1号 / 規則第44条
監理支援機関は営利を目的としない法人でなければなりません。株式会社など営利法人は申請できません。
| 法人種別 | 可否 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 商工会議所 | ○ 可 | 受入れ企業が当該商工会議所の会員であること |
| 商工会 | ○ 可 | 受入れ企業が当該商工会の会員であること |
| 中小企業団体 | ○ 可 | 受入れ企業が組合員・会員であること |
| 職業訓練法人 | ○ 可 | 特になし |
| 農業協同組合 | ○ 可 | 受入れ企業が農業を営む組合員であること |
| 漁業協同組合 | ○ 可 | 受入れ企業が漁業を営む組合員であること |
| 公益社団法人・公益財団法人 | ○ 可 | 特になし(事業報告書・事業計画書の添付要) |
| 一般社団法人・一般財団法人、その他の法人 | △ 条件付き | 特別の理由+過去3年以内の実績証明が必要 |
| 株式会社等の営利法人 | ✗ 不可 | 営利法人は申請不可 |
一般社団法人等が申請する場合の追加要件
「特別の理由があること」および「重要事項の決定・業務監査を行う適切な機関を置いていること」の両方を立証する必要があります。 「特別の理由」については、過去3年以内に①認定NPO法人として、または②技能実習の監理団体として、人材育成支援業務を通年かつ継続的に行った実績が必要です。
「特別の理由があること」および「重要事項の決定・業務監査を行う適切な機関を置いていること」の両方を立証する必要があります。 「特別の理由」については、過去3年以内に①認定NPO法人として、または②技能実習の監理団体として、人材育成支援業務を通年かつ継続的に行った実績が必要です。
②
業務遂行能力に関する要件
法第25条第1項第2号 / 規則第45条
(1)受入れ企業数
- 監理支援を行う育成就労実施者が2者以上であること(独立性・中立性の確保)
- 新規申請時は「2者以上となる見込み」でも可。ただし許可後1年以内に実際の受入れが必要
- 商工会議所・協同組合等は、受入れ予定企業が会員・組合員であることが条件
(2)常勤役職員数
以下の①②③をすべて同時に満たす人数が必要です。
① 絶対最低人数
2人以上
② 受入れ企業数ベース
企業数÷8を超える
③ 外国人数ベース
外国人数÷40を超える
📊 必要人数の早見表
| 受入れ企業数 | 育成就労外国人数 | 必要最低人数 |
|---|---|---|
| 1〜15者 | 1〜79人 | 2人 |
| 16〜23者 | 80〜119人 | 3人 |
| 24〜31者 | 120〜159人 | 4人 |
※②と③の計算結果のうち大きい方が必要人数(最低2人)。総務・経理との兼務は可。専ら総務・経理のみの者は不可。
新規申請時は申請時点で2人以上必要です。「事業開始後に増員する」という計画は認められません。
(3)相談応需体制・緊急保護体制
- 育成就労外国人の母国語での通訳人を確保すること(非常勤・業務委託も可)
- 夜間・休日も含めた緊急連絡体制(電話・メール・SNS等)を整備すること
- 事業所から育成就労実施場所まで日帰りで往復できる距離にあること
- 相談対応記録書を作成・事業所に備え付けること
離島等で日帰り対応が困難な場合は、宿泊施設等の一時避難先を事前に複数指定し、緊急時マニュアルを整備することで例外的に認められます。
③
財産的基礎に関する要件
法第25条第1項第3号 / 規則第46条
- 直近の事業年度末時点で債務超過の状態にないこと
- 債務超過であっても、申請時点で解消されていれば月次試算表等を提出することで申請可能
- 法人設立直後で決算書類がない場合は、法人成立時の貸借対照表や入出金履歴を提出
許可後に債務超過に陥った場合は、改善命令・許可取消しの対象となります。財務状況の管理には特に注意が必要です。
④
個人情報の保護に関する要件
法第25条第1項第4号
育成就労外国人の身分事項・労働条件等、高い保護が求められる情報を適切に管理するため、以下の整備が必要です。
- 個人情報適正管理規程を事業所ごとに作成・備え付けること
- 個人情報を取り扱う職員の範囲を明確にし、目的外使用・漏えい防止の教育を実施すること
- 情報の漏えい・滅失・毀損を防止するための技術的措置を講じること
- 不要になった個人情報を適切に廃棄・削除すること
- 苦情処理体制を整備し、育成就労外国人への周知を行うこと
個人情報適正管理規程は、業務運営規程と一体として作成することも可能です。
⑤
外部監査に関する要件
法第25条第1項第5号 / 規則第47条
監理支援機関の中立性を外部から担保するため、外部監査人の設置が法律上義務付けられています。
外部監査人の3つの要件
- 資格要件:弁護士・社会保険労務士・行政書士(法人も可)、または育成就労の高度な知見を有する者(大学教授等)
- 講習要件:過去3年以内に主務大臣告示の外部監査人講習を修了していること(技能実習制度の監理責任者等講習修了者は当面の間認められる)
- 独立性要件:受入れ企業・監理支援機関・送出機関との密接な関係がない者であること
外部監査人になれない者(主な例)
①受入れ企業またはその役職員(過去5年以内含む) ②監理支援機関の役職員(過去5年以内含む) ③送出機関の役職員(過去5年以内含む) ④他の監理支援機関の役職員 ⑤受入れ企業と顧問契約を結んでいる弁護士等
①受入れ企業またはその役職員(過去5年以内含む) ②監理支援機関の役職員(過去5年以内含む) ③送出機関の役職員(過去5年以内含む) ④他の監理支援機関の役職員 ⑤受入れ企業と顧問契約を結んでいる弁護士等
外部監査の実施頻度
| 監査の種類 | 頻度 | 内容 |
|---|---|---|
| 定期確認 | 3か月に1回以上 | 責任役員・監理支援責任者からの報告受領、事業所での設備確認・帳簿閲覧 |
| 同行監査 | 1年に1回以上 | 監理支援機関が行う育成就労実施者への監査に同行し、実施状況を確認 |
外部監査人の名称・所在地等はOTITホームページで公表されます。外部監査人は公表への同意が必要です。
⑥
適正遂行能力に関する要件
法第25条第1項第7号
(1)中立性の確保
- 送出機関の役員と監理支援機関の役員が同一人物でないこと
- 常勤の監理支援責任者を事業所ごとに選任すること(監理支援責任者講習修了者)
- 育成就労実施者と密接な関係を有する役職員を、個人情報管理・入国後講習以外の業務に関わらせないこと
(2)事業所の要件
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 所在地 | 風俗営業等が密集するなど不適切な場所でないこと |
| 名称 | 公的機関や他の監理支援機関と誤認させる名称でないこと |
| 独立性 | 他の事業者と混在せず独立したスペースであること。プライバシーを保護した相談スペースを確保すること |
| 便宜供与禁止 | 受入れ企業が所有・転借する土地・建物への設置は不可。受入れ企業を連帯保証人にしてはならない |
| 面積 | おおむね20㎡以上(有効に使用できる面積) |
(3)その他
- 業務運営規程を事業所ごとに整備し、遵守すること
- 転籍者のみを対象とした申請は不可(3年間を通じた一連の監理支援事業の能力がないと判断される)
- 監理支援費の種類・金額を明示して徴収すること(送出機関からのキックバック等は禁止)
✗
欠格事由(該当すると許可不可)
法第26条
以下のいずれかに該当する者は許可を受けることができません。許可後に該当した場合も取消しの対象となります。
刑罰
出入国・労働関係法令違反で罰金刑を受けてから5年を経過しない者(または該当する役員がいる法人)
社会保険・労働保険各法の使用者義務違反による罰金刑も同様。役員に拘禁刑以上の刑を受けた者がいる場合も対象。
処分歴
監理支援機関(または技能実習の監理団体)の許可を取り消されてから5年を経過しない者
処分通知後に廃止届を出した者(相当の理由ある場合を除く)も同様。当時の役員も含まれる。
不正行為
出入国・労働法令に関し不正または著しく不当な行為をした日から5年を経過しない者
不法就労助長行為・偽変造文書行使・労働基準法違反での送検・有罪確定等が該当。
役員適格性
役員に精神の機能障害により育成就労の責務を果たせない者、または破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者がいる場合
法定代理人が欠格事由に該当する未成年者の役員がいる場合も含む。
暴力団
役員に暴力団員等がいる場合、または暴力団員等を業務に従事させ・補助者として使用するおそれがある場合
暴力団員等がその事業活動を支配する者も含む。
「役員」の範囲は形式上の役員だけでなく、相談役・顧問等の名称を問わず、実態上同等以上の支配力を有する者も含まれます。
▶
許可申請の流れ
申請先:OTIT(外国人育成就労機構)本部事務所 審査課
1
申請書・添付書類の準備
許可申請書(省令様式第15号)・事業計画書(省令様式第16号)に加え、法人形態・財産・人員・外部監査人等の証明書類を揃えます。
2
手数料の納付
国へ10,600円(収入印紙)+機構へ81,000円(口座振込)+登録免許税15,000円。事業所が2か所以上の場合は加算があります。
3
OTITへ申請書を提出・審査
機構(OTIT)本部事務所の審査課へ申請書を提出。機構が事実関係の調査を行います(法第24条)。
4
労働政策審議会の意見聴取
厚生労働大臣は許可をする前に労働政策審議会の意見を聴取します(法第23条第6項)。
✓
主務大臣による許可・許可証の交付
許可の有効期間は3年以上(能力・実績を勘案して設定)。許可証は事業所ごとに備え付けが必要です。
育成就労法の施行前(令和7年予定)でも事前申請が可能です(改正法附則第5条)。早めの準備をお勧めします。



