1号特定技能外国人の申請要件
(全分野共通)
在留資格「特定技能1号」を取得するために、外国人本人(申請人)が満たすべき「全分野共通」の基準を、要件・確認書類・実務ポイントに分けて行政書士が詳しく解説します。年齢・健康・技能・日本語能力から通算在留期間・保証金・費用負担まで10項目を網羅。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年4月)第4章第1節ほか
在留資格「特定技能1号」の許可を受けるには、大きく分けて4つの基準をすべて満たす必要があります。本記事では、そのうち「特定技能外国人本人(申請人)に関する基準」のうち、分野を問わず共通して適用される部分(上陸基準省令〔特定技能1号〕に基づく要件)を取り上げます。各分野固有の技能試験・日本語試験の詳細は、分野別運用方針および運用要領の分野別冊子で別途定められています。
申請人本人の要件は、以下の4つのうちの1つ目に当たります。本人が要件を満たしていても、雇用契約・受入れ機関・支援計画のいずれかが基準を満たさなければ許可されません。
に関する基準
雇用契約の基準
(特定技能所属機関)の基準
支援計画の基準
| No. | 要件 | ポイント(概要) |
|---|---|---|
| 1 | 年齢 | 上陸時点で18歳以上(学歴要件なし) |
| 2 | 健康状態 | 健康状態が良好(健康診断個人票・受診者の申告書) |
| 3 | 技能水準 | 分野の技能試験合格 等(技能実習2号良好修了で免除される場合あり) |
| 4 | 日本語能力 | 日本語試験合格 等(原則N4程度以上/分野によりN3) |
| 5 | 退去強制の円滑な執行への協力 | 非協力国・地域(イラン)の者は受入れ不可 |
| 6 | 通算在留期間 | 「特定技能1号」で通算5年以内(要件充足で6年) |
| 7 | 保証金の徴収・違約金契約等がないこと | 本人・親族等が保証金や違約金契約を締結していない |
| 8 | 費用負担の合意 | 食費・居住費等を十分理解し合意・実費相当の適正額 |
| 9 | 本国で遵守すべき手続 | 本国の手続がある場合は当該手続を経ていること |
| 10 | 分野に特有の基準 | 分野ごとに告示で定める基準に適合(告示なしの分野もあり) |
年齢|18歳以上であること
日本の労働法制上、18歳未満の労働者には特別の保護規定があることから、特定技能外国人には18歳以上であることが求められます。学歴については特に基準は設けられていません。
- 18歳未満でも在留資格認定証明書の交付申請自体は可能ですが、日本に上陸する時点で18歳以上でなければなりません。
- 在留資格認定証明書の有効期間は交付日から3か月以内のため、18歳未満で申請する場合は有効期間を考慮して申請時期を調整してください。
健康状態|健康状態が良好であること
特定技能に係る活動を安定的かつ継続的に行う観点から、申請人の健康状態が良好であることが求められます。
- 健康診断個人票(参考様式第1-3号)※10か国語の翻訳様式が入管庁HPに掲載
- 受診者の申告書(参考様式第1-3号(別紙))
- 新規入国(認定証明書交付申請):申請日から遡って3か月以内に医師の診断を受けること。
- 国内在留者からの変更(変更許可申請):申請日から遡って1年以内に日本の医療機関で受診していれば診断書を提出可。
- 「胸部エックス線検査」に異常所見がある場合は、喀痰検査を実施し活動性結核でないことの確認が求められます。
- 受診者の申告書は、通院歴・入院歴・手術歴・投薬歴の全てを医師に申告したことの確認を求めるものであり、健康診断の受診後に作成することに留意してください。
技能水準|相当程度の知識・経験を要する技能
従事しようとする業務に必要な「相当程度の知識又は経験を要する技能」を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていることが必要です。試験の種類は、特定産業分野に係る分野別運用方針で定められています。
- 分野別運用方針に定める技能試験の合格証明書の写し(試験で証明する場合)
- 技能検定3級等の実技試験の合格証明書の写し、または技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号)(技能実習2号良好修了で証明する場合)
- 「技能実習2号を良好に修了」とは、技能実習を2年10か月以上修了し、技能検定3級等の実技試験に合格していること、または評価調書により良好に修了したと認められることをいいます。
- 国内試験を受験できるのは在留資格を有して在留中の外国人です(「短期滞在」の者も含む。不法残留者等は不可)。
- 試験に合格しても、それだけで在留資格が保証されるものではありません(在留資格変更は活動・在留状況・必要性等を総合的に勘案して判断されます)。
日本語能力|生活・業務に必要な日本語能力
ある程度の日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていることが必要です。
- 日本語試験(JFT-Basic・JLPT等)の合格証明書の写し
- 技能実習2号良好修了で証明する場合は技能検定3級等の合格証明書の写し/評価調書(参考様式第1-2号)
退去強制令書の円滑な執行への協力
退去強制令書が発付されて送還されるべき外国人について、自国民の引取り義務を履行しない等、退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域の外国人の受入れは認められません。協力する国・地域の権限ある機関が発行した旅券を所持していることが求められます。
通算在留期間|通算5年以内であること
「特定技能1号」で在留できる期間は、通算して原則5年以内です(5年を超えて在留することについて相当の理由があると認められる場合は6年)。「通算」とは、特定産業分野を問わず「特定技能1号」で本邦に在留した期間をいい、過去に「特定技能1号」で在留していた期間も含まれます。
- 通算に含まれる期間:失業中の期間/再入国許可による出国期間/変更・更新許可申請中の特例期間/移行準備のための「特定活動」で在留した期間 など。
- 通算に含めないことができる期間:妊娠・出産・育児(産前産後休業・育児休業等)、および病気・怪我(労災を含む)を理由に活動が行えない連続1か月超の休業期間(疎明資料から認められる場合に限る)。この取扱いを受けるには、原因発生時に遅滞なく届出を行い、通算満了の概ね3か月前までに在留諸申請を行う必要があります。
- 6年となる場合:「特定技能2号」評価試験等に不合格となった1号特定技能外国人のうち、8割以上の得点取得など一定の要件を満たす者は「5年を超えて在留する相当の理由あり」に該当し、通算6年となります。
- 残余の雇用契約期間や在留期限にかかわらず、通算5年に達した時点で以後の在留は原則認められません。通算在留期間は出入国記録の開示請求で確認できます。
保証金の徴収・違約金契約等がないこと
申請人本人またはその配偶者・親族等が、特定技能雇用契約に基づく活動に関連して保証金の徴収や財産の管理を受けておらず、違約金を定める契約その他不当に金銭等の移転を予定する契約が締結されていない(かつ締結される見込みがない)ことが求められます。
- 規制対象は受入れ機関・登録支援機関に限らず、職業紹介事業者、本国・日本の仲介事業者(ブローカー)等を含め広く適用されます。
- 失踪に係る違約金、休日外出の禁止に伴う違約金、一定期間勤務を条件とする貸付金免除、途中退職時の残額一括返済、不当に高額な対価徴収の予定なども該当します。
- 受入れ機関が保証金徴収等を認識した上で雇用契約を締結した場合、出入国・労働関係法令に関し不正・著しく不当な行為を行った者として欠格事由(5年間受入れ不可)に該当します。契約締結前に十分確認してください。
- 雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)
- 1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)
費用負担の合意|食費・居住費等の適正な合意
申請人が定期に負担する費用(食費・居住費その他名目を問わない)について、対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつその額が実費に相当する等の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されることが求められます。入国前・在留中に不当な費用を意に反して徴収されることを防ぐ趣旨です。
- 食費:現物支給は購入額以内/社員食堂は一般従業員から徴収する額以内/調理・提供は材料費・水道光熱費・人件費等を利用者数で除した額以内。
- 居住費:自己所有物件は建設・改築費や耐用年数・入居人数を勘案した合理的な額/借上物件は借上げ費用(管理費・共益費含む。敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料等は含めず本人に負担させない)を入居人数で除した額以内。
- 水道光熱費:実際に要した費用を同居人数(所属機関やその家族を含む)で除した額以内。
- 雇用条件書の写し(参考様式第1-6号)※控除する費用の名目・額を明記
- 雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)/1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)
本国において遵守すべき手続を経ていること
申請人が国籍・住所を有する国・地域において、本邦で行う活動に関連して遵守すべき手続が定められている場合は、当該手続を経ていることが求められます。海外に渡航して労働を行う場合の本国での許可等が典型例です。
分野に特有の事情に鑑みて定められた基準
前各号に加え、法務大臣が告示で定める特定の産業分野に係るものについては、当該分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合することが求められます。分野ごとに定める書類(本要領の分野別冊子を参照)で確認します。
技能実習2号を良好に修了すれば、技能試験も日本語試験も一切不要ですか?
従事業務と職種・作業に関連性があれば技能試験は原則免除され、日本語も原則N4レベルの試験が免除されます。ただし介護分野の介護日本語評価試験、および自動車運送業(タクシー・バス)・鉄道(運輸係員)のN3要件は免除されないため、別途証明が必要です。
通算在留期間の「5年」は、転職や分野変更をしてもリセットされますか?
リセットされません。「通算」は特定産業分野を問わず「特定技能1号」で在留した期間の合計で、過去の在留期間も含まれます。残りの契約期間があっても通算5年に達した時点で以後の在留は原則認められません。
出産・育児や病気で働けない期間があると5年を使い切ってしまいますか?
妊娠・出産・育児や病気・怪我(労災含む)で連続1か月を超えて活動できない休業期間は、疎明資料から認められれば通算在留期間に含めないことができます。ただし原因発生時に遅滞なく届出を行い、通算満了の概ね3か月前までに在留諸申請を行う必要があります。
これらの要件を満たせば必ず許可されますか?
本記事は申請人本人に関する「全分野共通」の要件です。実際の許可には、雇用契約・受入れ機関・支援計画・分野固有基準もすべて満たす必要があり、在留状況等も総合的に審査されます。個別の事情はご相談ください。
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