特定技能制度の豆知識

1号特定技能外国人の申請要件(全分野共通)

 1号特定技能外国人は、12分野のいずれかの職種において就労が可能です。申請要件については、分野ごとに異なる要件もありますが、本投稿では、全分野に共通する申請要件を紹介いたします。

1. 年齢条件
日本入国時において18歳以上であること
日本入国時に18歳になっていればいいので、18歳未満であっても、在留資格認定証明書交付申請を行うことは可能です。ただし、在留資格認定証明書の有効期間は、交付日から3ヵ月なので注意してください。

2. 健康状態
健康状態が良好であること
仕事を安定的かつ継続的に行うことが見込まれるだけの健康状態があることが求められます。
※健康診断個人票の記載から健康状態が確認されます。
※新たに日本に入国する場合には、申請日の日から3ヵ月以内に、医師の診断を受けなければなりません。なお、外国で受信した場合は日本語訳が必要になります。
※技能実習生や留学生などの在留中の者が、特定技能へ変更する場合は、申請日からさかのぼって1年以内に医師の診断を受けていれば診断書を提出することとして差し支えありません。

3.技能水準
次のどちらかを満たしている必要があります。
①分野別の技能測定試験に合格していること
②技能実習2号を良好に修了していること
それでは①と②について解説します。
▼①分野別の技能測定試験に合格していること
産業分野別の技能測定試験に合格する必要があります。
疎明資料として技能試験の合格証明書の写しが必要です。
▼②申請人が技能実習2号を良好に修了していること
「技能実習2号を良好に修了している」とは、技能実習を2年10ヵ月以上修了し、技能検定3級またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していることを言います。
疎明資料として技能検定3級の合格証明書が必要です 
※技能検定3級等の実技試験に合格していない場合は「技能実習生に関する評価調書」が必要です。
※技能実習2号から特定技能へ変更する場合ですが、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業が関連していなければなりません。

4.日本語能力水準
以下の試験に合格していること
・N4以上の日本語能力試験
・国際交流基金日本語基礎テスト
介護の分野では、上記の試験に加えて介護日本語評価試験も合格する必要があります。
※技能実習2号を良好に修了している者は日本語試験は免除となります。

5.退去強制令書の円滑な執行への協力
入管法における退去強制令書が発付されて送還されるべき外国人について、自国民の引取り義務を履行しない等、退去強制令書の円滑な執行に協力しない国や地域の外国人の受入れは認められません。
▼退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域は、以下の国になります。
イラン・イスラム共和国 

6.通算在留期間
在留期間が通算して5年に達していないこと
特定技能の在留期間は、1年、6ヵ月又は4ヵ月ごとの更新で通算で上限5年までです。つまり、特定技能1号の在留資格で通算在留期間が5年に達した外国人は、在留資格「特定技能1号」を取得することはできません。
※次の場合も通算在留期間に含まれるので注意が必要です。
・再入国許可による出国期間、当然、みなし再入国許可による出国期間も含む
・失業中や育児休暇および産前産後休暇等による休暇期間
・労災による休暇期間 

7.保証金の徴収・違約金契約等の禁止 
申請人やその家族が、保証金の徴収や財産の管理又は違約金契約などを締結されていないことが見込まれること
※特定技能外国人やその親族等から保証金や違約金を徴収することは禁止されています。
※提出する「雇用の経緯に係る説明書」「1号特定技能外国人支援計画書」で確認されます。

8.費用負担の合意に関するもの
特定技能外国人が、入国前や在留中に負担する費用について、しっかりと説明を受けそれについて合意していることが必要です。
申請人が入国前および在留中に負担する費用について、その意に反して徴収されるなど不当な費用徴収を防止するため、申請人が負担する費用の額及び内訳を十分に理解していることが求められます。
※特定技能外国人がしっかりと説明を受けそれに合意していることを確認するために「雇用条件書の写し」「徴収費用の説明書」「雇用の経緯に係る説明書」「支援計画書」などの資料を提出する必要があります。

9.本国において遵守すべき手続に関するもの
特定技能外国人が国籍又は住所を有する国又は地域において、申請人が日本で行う活動に関連して当該国又は地域において遵守すべき手続が定められている場合にあっては、当該手続を経ていることが必要です。
※特定技能外国人が、特定技能に係る活動を行うに当たり、海外に渡航して労働を行う場合の当該本国での許可等、本国において必要な手続を遵守していることを求めています。例えば、その外国人の本国と日本が「二国間協定」を締結していれば、その内容に沿って手続を進めなければなりません。

10.分野に特有の事情に鑑みて定められた基準を適合していること 

【注意点】
◆履歴書の問題 
技能実習の認定証明書時に提出した履歴書と特定技能を申請するために提出する履歴書の内容に齟齬があると不許可になるので注意が必要です。

国際行政書士金森勇征事務所