特定技能制度の豆知識

➤特定技能制度の概要


【1】特定技能制度とは

特定技能制度を簡単に説明すると、日本の産業における深刻な人手不足を背景に、特定の技能分野において高い能力を持つ外国人労働をn受け入れることを目的として、2019年4月1日から施行されました。人手不足が深刻である12分野(2024年3月29日の閣議決定で今後は4分野が追加され16分野となる)にて、外国人労働者を受入れることができます。特定技能ビザを取得できる外国人は、日本語能力試験や技能試験に合格する必要があります。また、受入れる企業側も、一定の要件を満たす必要があります。

【2】特定技能外国人とは

特定技能1号
✔特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする業務に従事する活動を行う。
✔技能試験と日本語試験に合格する必要あり(技能実習2号を良好に修了した場合は免除)
✔所属機関又は登録支援機関による支援の対象
✔原則、家族大東は不可
✔日本に在留できる期間は5年まで
✔付与される在留期間は法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)

特定技能2号
✔特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動を行う。
✔特定技能1号より高度な技能試験に合格する必要があるほか、一定の実務経験が求められる
✔所属機関又は登録支援機関による支援の対象外
✔配偶者と子の帯同可能(「家族滞在」の在留資格を得る必要があり)
✔在留期間の更新を受ければ上限なく滞在可能
✔付与される在留期間は3年、1年又は6か月

【3】雇用から就労までの流れ

(1)日本国内に在留中の外国人を受け入れる場合

STEP1

外国人が試験に合格する又は技能実習2号を良好に修了
試験区分や技能実習の職種と特定技能の分野の関係は特定技能で従事しようとする分野の分野別運用要領を確認してください。 
分野別運用要領はこちら
試験に関する情報はこちら

STEP2

雇用契約の締結
雇用契約を締結します。雇用契約については、労働関係法令を遵守していることはもちろんのこと、特定技能雇用契約に関する基準を満たしている必要があります。特定技能雇用契約に関する基準は特定技能受入れに関する運用要領を御確認ください。また、外国人の雇用にあたって、受け入れられる外国人の国籍国によっては当該国籍国で定められた手続を行う必要がある場合があるため、手続が定められている場合は必要な手続を行うようにしてください。また、事前ガイダンスや健康診断はStep4の入管への申請前に行う必要があります。
運用要領はこちら
国別の手続に関する情報はこちら

STEP3

1号特定技能外国人支援計画の策定(特定技能1号のみ)
技能1号を受け入れる場合は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、入管への申請時に提出する必要があります。支援の実施については所属機関で行うほか、登録支援機関にその全部の実施を委託することができます。
1号特定技能外国人に対する支援・登録支援機関についてはこちら

STEP4

地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請を行う
本邦に在留中の場合は、在留資格変更許可申請を行い、在留資格変更許可を受ける必要があります。申請は原則外国人本人による申請ですが、所属機関または当該外国人の支援の実施の委託を受けた登録支援機関が取り次ぐことができます(事前に取次の承認を受ける必要があります。)。申請は外国人本人の住居地を管轄する入管の窓口に提出いただくか、オンラインでも申請いただけます(事前に利用者登録をする必要があります。)。郵送での申請は受け付けておりません。
申請に必要な書類はこちら
オンライン申請はこちら
地方出入国在留管理局の所在地・管轄はこちら

STEP5

在留資格変更許可
在留資格変更許可申請が許可されると、新しい在留カードと指定書が交付されます。
所属機関は、当該外国人が本邦における職業生活、日常生活及び社会生活を安定的かつ円滑に行えるようにするため、生活オリエンテーションを行う必要があります。生活オリエンテーションで情報提供する際の参考として、出入国在留管理庁ホームページ内にある外国人生活支援ポータルサイトや生活・就労ガイドブックを御参照いただくほか、生活オリエンテーション動画を御活用ください。また、所属機関等の方向けに制度・手続の案内など入管に関する役立つ情報をメールでお届けするメール配信サービスを行っていますので御活用ください。
外国人生活支援ポータルサイトはこちら
生活・就労ガイドブックはこちら
生活オリエンテーション動画はこちら
入管庁メール配信サービスはこちら

STEP6

就労開始
在留資格変更許可を受けた後、就労を開始することができます。
受入れ後、所属機関や登録支援機関は四半期に一度入管に対し受入状況や支援実施状況の届出を行っていただく必要があるほか、雇用契約に変更等があった場合も届出をする必要がありますので、注意してください。
届出手続についてはこちら

(2)海外に居住する外国人を受け入れる場合

STEP1

外国人が試験に合格する又は技能実習2号を良好に修了
試験区分や技能実習の職種と特定技能の分野の関係は特定技能で従事しようとする分野の分野別運用要領を確認してください。 
分野別運用要領はこちら
試験に関する情報はこちら

STEP2

雇用契約の締結
雇用契約を締結します。雇用契約については、労働関係法令を遵守していることはもちろんのこと、特定技能雇用契約に関する基準を満たしている必要があります。特定技能雇用契約に関する基準は特定技能受入れに関する運用要領を御確認ください。また、外国人の雇用にあたって、受け入れられる外国人の国籍国によっては当該国籍国で定められた手続を行う必要がある場合があるため、手続が定められている場合は必要な手続を行うようにしてください。
また、事前ガイダンスや健康診断はStep4の入管への申請前に行う必要があります。
運用要領はこちら
国別の手続に関する情報はこちら

STEP3

1号特定技能外国人支援計画の作成(特定技能1号のみ)
特定技能1号を受け入れる場合は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、入管への申請時に提出する必要があります。支援の実施については所属機関で行うほか、登録支援機関にその全部の実施を委託することができます。
1号特定技能外国人に対する支援・登録支援機関についてはこちら

STEP4

地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請を行う
外国から入国する場合は、在留資格認定証明書交付申請を行い、入管から在留資格認定証明書の交付を受ける必要があります。在留資格認定証明書交付申請は、所属機関が代理人となって申請できるほか、登録支援機関が取り次ぐことができます(事前に取次の承認を受ける必要があります。)。申請は所属機関の本店所在地を管轄する入管の窓口に提出いただくか、オンラインでも申請いただけます(事前に利用者登録をする必要があります。)郵送での申請は受け付けておりません。
申請に必要な書類はこちら
オンライン申請はこちら
地方出入国在留管理局の所在地・管轄はこちら

STEP5

在留資格認定証明書の受領
在留資格認定証明書が交付されたら、在留資格認定証明書を外国人(申請人)に送付してください。

STEP6

査証を申請する
Step5で交付された在留資格認定証明書をもって査証の申請を行います。査証の申請は、申請人が居住する国・地域などにある在外公館で行います。

STEP7

査証を受領

STEP8

入国
査証が発給されたら、入国します。入国には旅券・査証のほか在留資格認定証明書が必要です。空港で入国の審査を受け、上陸許可を受けると「特定技能」の在留カードと指定書が交付されます。
※一部の空港では後日交付になります。
なお、Visit Japan Webで外国人入国記録(EDカード情報)を事前入力することで、入国審査(新規入国時)をスムーズに行うことができます。
所属機関は、当該外国人が本邦における職業生活、日常生活及び社会生活を安定的かつ円滑に行えるようにするため、生活オリエンテーションを行う必要があります。生活オリエンテーションで情報提供する際の参考として、出入国在留管理庁ホームページ内にある外国人生活支援ポータルサイトや生活・就労ガイドブックを御参照いただくほか、生活オリエンテーション動画を御活用ください。
また、所属機関等の方向けに制度・手続の案内など入管に関する役立つ情報をメールでお届けするメール配信サービスを行っていますので御活用ください。
Visit Japan Webサービスはこちら
外国人生活支援ポータルサイトはこちら
生活・就労ガイドブックはこちら
生活オリエンテーション動画はこちら
入管庁メール配信サービスはこちら

STEP9

就労開始
空港で「特定技能」で上陸許可を受けたら、日本で特定技能として働くことができます。
 所属機関や登録支援機関は、受入れ後、四半期に一度入管に対し受入状況や支援実施状況の届出を行っていただく必要があるほか、雇用契約に変更等があった場合も届出をする必要がありますので、注意してください。
届出手続についてはこちら

【4】企業が特定技能外国人を受け入れるための条件等

受入企業としての条件
外国人労働者の人権保護を目的として、企業は特定技能外国人を受入れる機関としての条件を満たさなければなりません。
1.外国人と結ぶ雇用契約適切であること
ー特定技能外国人の報酬額や労働時間等が日本人と同等以上であるなど
2.受入企業自体が適切である
ー法令等を遵守し、「禁錮以上の刑に処された者」等の欠格事由に該当しない
3.外国人を支援する体制がある⇒自社で支援ができない場合は登録支援機関に依頼可能
4.外国人を支援する計画が適切である

受入企業の義務
1.外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
2.外国人への支援を適切に実施すること
3.出入国在留管理庁及びハローワークへの各種届出
特定技能外国人の受入れ後は、受入れ状況等について、地方出入国在留管理局及び ハローワークに定期又は随時の届出を行う

分野別協議会への加入
特定技能外国人を受け入れる全ての受入れ機関は、特定産業分野ごとに分野所管省庁が設置する協議会の構成員になることが求められます。 協議会は、分野所管省庁、受入れ機関、業界団体その他関係省庁等で構成され、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応を行います。
協議会への加入手続の詳細は、各分野所管省庁のホームページを御覧ください。

届出について
受入れ機関・登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対し、各種届出を定期又は随時に行わなければなりません。
受入れ機関の届出不履行や虚偽の届出といった違反が発覚した場合、指導・罰則の対象となります。
登録支援機関についても、指導や登録の取消しの対象となります。

【5】特定技能外国人への支援は登録支援機関に依頼可能

特定技能1号として外国人を受け入れる企業等には、「支援計画」を作成し、入国から帰国まで一連のサポートを行うことなどが求められます。以下10項目の支援を行わなければなりませんが、これらを「登録支援機関」に委託することもできます。

事前ガイダンスの実施
住居の確保
出入国の際の送迎
生活オリエンテーションの実施
公的手続き等への同行
日本語学習機会の提供
相談、苦情対応
日本人との交流支援
会社都合退職の際の転職支援
定期的な面談、行政機関への通報


特定支援機関として登録できる個人、団体は「業界団体」「社労士」「民間法人」「行政書士」など様々です。支援計画書の作成が行える個人、団体であれば、原則として登録支援機関として業務を行うことができます。現在、人材紹介会社や人材派遣会社が登録支援機関である割合が多いです。

国際行政書士金森勇征事務所