特定技能制度の豆知識

受入企業(特定技能所属機関)が満たすべき条件➀

受入企業(特定技能所属機関)

[1]労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること

▼労働関係法令を遵守しているとは?
・労働基準法等の基準に則って特定技能雇用契約が締結されていること
・雇用保険及び労災保険の適用事業所である場合は、当該保険の適用手続及び保険料の納付を適切に行っていること(未納がある場合は、納付手続きを行えば、大丈夫です。)
▼社会保険関係法令を遵守しているとは?
<健康保険及び厚生年金保険の適用事業所の場合>
・受入機関が、健康保険及び厚生年金保険の加入手続、雇用する従業員の被保険者資格取得手続を行っており、所定の保険料を適切に納付していること
<健康保険及び厚生年金保険の適用事業所でない場合>
・事業主本人が、国民健康保険及び国民年金に加入し、所定の保険料を適切に納付していること
※未納がある場合は、納付手続きを行えば、大丈夫です。
▼租税関係法令を遵守しているとは?
<法人の場合>
源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税、法人住民税を適切に納付していること
<個人事業主の場合>
①源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税、個人住民税を適切に納付していること

[2]1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと

[3]1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
※外国人には、特定技能外国人のみならず実習実施者として受入た技能実習生も含まれます。
※行方不明をだした受入れ機関が、基準に適合しないことを免れるために、別会社を作った場合は、実質的に同一の機関であると判断して、当該別会社も行方不明者を発生させた機関として、取り扱うことがあります。

[4]欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
<関係法律による刑罰を受けたことによる欠格事由>
次のいずれかに該当する場合には、受入れ機関になることはできません。
・禁錮以上の刑に処せられた者
・出入国又は労働に関する法律に違反し、罰金刑に処せられた者
・暴力団関係法令、刑法等に違反し、罰金刑に処せられた者
・社会保険各法および労働保険各法において事業主としての義務に違反し、罰金刑に処せられた者
※いずれも「刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者」が対象者となります。
<実習認定の取消しを受けたことによる欠格事由>
実習実施者として技能実習生を受け入れていた際に実習認定の取消しを受けた場合、取消しの日から5年を経過しない者や、法人であった場合にその法人の役員であった者は、受入れ機関になることはできません。
<出入国又は労働関係法令に関する不正行為を行ったことによる欠格事由>
特定技能雇用契約の締結の日の前5年以内又はその締結の日以後に、出入国または労働関係法令に関する不正行為等をおこなった者は、受入れ機関になることはできません。例えば、「外国人に対して暴行し、脅迫し又は監禁する行為」「外国人の旅券や在留カードを取り上げる行為」「外国人に支給する手当や報酬の一部又は全部を支払わない行為」「外国人の外出その他私生活の自由を不当に制限する行為」「その他外国人の人権を著しく侵害する行為」「偽変造文書等の行使・提供」「保証金の徴収等」

<暴力団等(暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しないものをいう)及びその役員が暴力団等、暴力団員等がその事業を支配する者>

[5]特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと活動内容に関わる文書とは、特定技能外国人の管理簿や雇用契約内容、雇用条件、出勤簿などのことをいいます。

[6]外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
受入れ機関は、特定技能外国人やその親族等が、保証金の徴収や財産の管理をされている場合、又は違約金契約を締結させられている場合には、そのことを認識して雇用契約を締結してはいけません。

[7]受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
受入れ機関は、特定技能外国人やその親族等が、保証金の徴収や財産の管理をされている場合、又は違約金契約を締結させられている場合には、そのことを認識して雇用契約を締結してはいけません。

[8]支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと
1号特定技能外国人に対する支援に要する費用は、受入れ機関が負担すべきものであり、1号特定技能外国人に直接的又は間接的に負担させてはいけません。
▼支援に要する費用とは?
登録支援機関への委託費用、出入国時の送迎費用、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・相談苦情対応及び定期的な面談の実施に係る通訳人の通訳費等が該当します。
▼居住費用を徴収する場合
住宅の賃貸料などの実費を本人に負担させることまでは禁止していませんが、負担させないことが望ましいです。なお、居住費を徴収する場合、その額は適正な額でなければなりません。支給額に対して居住費の割合が高いと判断した場合、その物件周辺の賃貸アパートの相場がわかる資料等の提出を求められる可能性があります。

[9]労働者派遣の場合は,派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められる者であるほか,派遣先が[1]~[4]の基準に適合すること
特定技能外国人を派遣労働者として受入れをする場合には、派遣元は外国人が従事することとなる特定産業分野に関する業務を行っていることなどが求めらるほか、出入国在留管理庁長官と当該特定産業分野を所管する関係行政機関の長との協議により適当であると認められた場合に限られます。
派遣先についても、派遣元と同様に、労働、社会保険および租税に関する法令の遵守、一定の欠格事由に該当しないことなどが求められます。
※なお、現在、特定技能外国人を派遣することができる分野は、「農業と「漁業」に限られています。

[10]労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
労災保険の適用事業者である場合には、労災保険に係る保険関係の成立の届出を適切に行なっていることが求められます。
なお、労災保険の適用事業所ではない場合は、労災保険に類する民間保険に加入している必要があります。[11]雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること

[11]雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
特定技能雇用契約を継続して履行する体制として、事業を安定的に継続し、外国人と締結した特定技能雇用契約を確実に履行できる財政的基盤を有していることが必要です。
※確認書類として「特定技能所属機関概要書」を提出します。
※財政的基盤を有しているかについては、事業年度末における欠損金の有無、債務超過の有無等から総合的に判断されます。 

[12]報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
外国人に対する報酬の支払を確実かつ適正なものとするため、当該外国人に対する報酬の支払は、基本、預貯金口座への振込とします。
預貯金口座への振込以外の支払方法にする場合は、事後に出入国在留管理庁長官に対し、その支払の事実を裏付ける客観的な資料(報酬支払証明書)を提出し、出入国在留管理庁長官の確認を受けることが求められます。
※特定技能外国人の活動状況に関する届出の際に提出

[13]分野に特有の基準に適合すること「分野所管省庁の定める告示で規定」
○ 特定技能所属機関が、協議会に加入する際に、協議会が求める場合には、分野別運用要領第3の3(3)に示した日本標準産業分類に該当する事業所
であることが分かる書類(例えば、登記事項証明書、定款の写し、決算書類等の売上高が確認できる書類、保健所長の営業許可の写し等)を協議会に提
出しなければなりません。
○ 特定技能所属機関が、飲食料品製造業分野の特定技能外国人を受け入れる場合には、当該特定技能外国人に係る在留諸申請の前に、協議会に加入し、
加入後は農林水産省及び協議会に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。
○ また、協議会に対し、必要な協力を行わない場合には、基準に適合しないことから、特定技能外国人の受入れができないこととなります。
○ 特定技能所属機関が1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合には、当該登録支援機関は、支援を委託される特定技能外国人
に係る在留諸申請の前に、協議会に加入し、加入後は農林水産省及び協議会に対し、必要な協力を行うものでなければなりません。
○ 特定技能外国人に対して、キャリアアッププランのイメージをあらかじめ設定し、雇用契約を締結する前に書面を交付し、又はこれを記録した電磁的
記録を提供して説明しなければなりません。
【キャリアアッププランの内容の例】 ※任意様式
・ 想定されるキャリアルート
・ 各レベルの業務内容及び習熟の目安となる年数
・ レベルアップするときに必要な経験・実績、資格・検定など
○ 特定技能外国人から飲食料品製造業分野に係る実務経験を証明する書面の交付を求められた場合は、当該機関における実務経験を証明する書面を交付
しなければならず、これを行わない場合は、基準に適合しないことから、特定技能外国人の受入れができないこととなります。

国際行政書士金森勇征事務所