➤外国人雇用(特技) 注意事項

✦ 出入国在留管理庁の公式情報に基づく / 受入れ機関(雇用企業)向け

特定技能外国人を雇用する上での
注意事項・義務・リスク完全ガイド

特定技能外国人の雇用には、受入れ基準の充足・雇用契約の履行・支援計画の実施・各種届出など、入管法上の義務が多岐にわたります。出入国在留管理庁の公式ページ(雇用における注意点・特定技能運用要領)をもとに、受入れ機関として知っておくべき事項を整理しました。

📋 本ページは出入国在留管理庁の公式情報「雇用における注意点」および「特定技能運用要領」をもとに作成しています。詳細・最新情報は必ず原典をご確認ください。
📋 出入国在留管理庁「雇用における注意点」より

受入れ機関が外国人を受け入れるための基準として、①外国人と結ぶ雇用契約が適切であること、②受入れ機関自体が適切であること、③外国人を支援する体制があること、④外国人を支援する計画が適切であること、の4点が定められています。

① 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
  • 報酬の額や労働時間等が日本人と同等以上であること。外国人であることを理由とした差別的な賃金設定は不可。
  • フルタイム勤務であること(原則として派遣形態による雇用は不可。農業・漁業を除く)。
  • 外国人または関係者から保証金の徴収や違約金を定める契約の締結をしていないこと(名目を問わず一切禁止)。
② 受入れ機関自体が適切であること
  • 法令等を遵守し、「禁錮以上の刑に処せられた者」等の欠格事由に該当しないこと。
  • 保証金の徴収や違約金契約の締結をしていないこと(受入れ機関だけでなく、登録支援機関・送出機関・仲介業者も含めて規制される)。
  • 過去5年以内に出入国・労働関係法令の違反がないこと。
③ 外国人を支援する体制があること
  • 支援責任者・支援担当者を選任していること。
  • 自社で支援できない場合は、登録支援機関に支援業務の全部を委託すること。
④ 外国人を支援する計画が適切であること
  • 1号特定技能外国人支援計画を作成し、計画が法令の基準を満たしていること(→第3章で詳述)。
⚠ 保証金・違約金は「名目を問わず」禁止

「研修費」「制服代」「手数料」など名目を変えても、実質的に保証金・違約金に当たる場合は入管法違反となります。特定技能所属機関・登録支援機関のほか、職業紹介事業者・送出機関・ブローカーなど関与する全ての仲介業者も規制の対象です。外国人本人のみならず、その配偶者・同居の親族・密接な関係を有する者も対象となります。

第2章

受入れ機関の義務

出入国在留管理庁「雇用における注意点」第2項より

📋 出入国在留管理庁「雇用における注意点」より

受入れ機関の義務として、①外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること、②外国人への支援を適切に実施すること、③出入国在留管理庁及びハローワークへの各種届出(定期または随時)を行うこと、の3点が定められています。

① 雇用契約の確実な履行
  • 締結した特定技能雇用契約の内容(報酬額・労働時間・業務内容等)を確実に履行すること。
  • 外国人であることを理由に、福利厚生施設の利用など待遇面において差別的な取扱いがあってはなりません。(出入国在留管理庁「雇用における注意点」その他の項より)
② 外国人への支援の適切な実施
  • 1号特定技能外国人支援計画に基づき、支援を適切に実施すること(→第3章で詳述)。
  • 支援に要する費用は、受入れ機関等において負担し、支援対象の外国人に負担させてはなりません。(出入国在留管理庁「雇用における注意点」その他の項より)
  • 登録支援機関に支援業務の全部を委託した場合は、受入れ機関の支援計画適正実施の基準に適合しているとみなされます。なお、支援計画の作成は受入れ機関の義務であり、登録支援機関に委託しても免除されません。
③ 各種届出(→第4章で詳述)
  • 受入れ後は、受入れ状況等について地方出入国在留管理局に定期または随時の届出を行う。
  • 外国人を雇い入れた時・離職した時はハローワークに届出を行う。
第3章

1号特定技能外国人支援計画の作成と実施

出入国在留管理庁「雇用における注意点」第3項・運用要領別冊より

📋 出入国在留管理庁「雇用における注意点」より

1号特定技能外国人を受け入れる受入れ機関は、当該外国人が「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成し、当該計画に基づいて支援を行わなければなりません。

🌐
法令上の義務:外国人が理解できる言語での実施

特定技能基準省令第3条・第4条により、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・相談苦情対応・定期面談(外国人本人との面談)は、外国人が十分に理解することができる言語での実施が法令上義務付けられています。日本語のみでの実施は不可です。翻訳機の活用は補助的に認められますが、込み入った相談・苦情対応等には通訳人の介在が必要です。

支援計画に記載し実施しなければならない義務的支援(9項目)

以下の9項目はすべて義務的支援です。支援計画に記載した任意的支援も計画に位置づけた以上は実施義務が生じます。

義務的支援

事前ガイダンスの提供

在留資格認定証明書交付申請前(または変更申請前)に実施。雇用契約の内容・入国手続き・費用負担・支援内容等を説明。対面またはテレビ電話装置等の方法(本人確認を行った上で)で実施。文書郵送・電子メール送信のみは不可。

🌐 外国人が理解できる言語での実施が義務
義務的支援

出入国する際の送迎

【入国時】外国人が上陸の手続きを受ける港または飛行場と特定技能所属機関の事業所(または住居)の間の送迎。
【出国時】外国人が出国の手続きを受ける港または飛行場まで送迎を行い、保安検査場の前まで同行し入場を確認することが必要。

義務的支援

適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援

住居を確保していない外国人への住居探しの補助・連帯保証人の手配等。居室の広さは1人当たり7.5㎡以上が基準。銀行口座開設・携帯電話の利用に関する契約・電気ガス水道等の生活に必要な契約手続きを補助することも含む。

義務的支援

生活オリエンテーションの実施

外国人が本邦に入国した後(または在留資格変更を受けた後)遅滞なく実施。日本での生活一般・行政手続・医療機関・防災防犯・法令遵守・法的保護に必要な事項など6項目の情報提供が義務。

🌐 外国人が理解できる言語での実施が義務
義務的支援

日本語学習の機会の提供

外国人の希望に基づき、①地域の日本語教室・認定日本語教育機関等への入学案内と手続き補助、②自主学習のための日本語学習教材やオンライン講座に関する情報提供と利用手続き補助、③登録日本語教員等と契約して講習機会を提供、のいずれかの方法で実施。

義務的支援

相談又は苦情への対応

外国人から職業生活・日常生活・社会生活に関する相談または苦情の申出を受けたときは、遅滞なく適切に応じるとともに、当該外国人への助言・指導その他の必要な措置を講ずること。必要に応じ関係行政機関への案内・同行補助も義務。

🌐 外国人が理解できる言語での実施が義務
義務的支援

日本人との交流促進に係る支援

地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域住民との交流の場に関する情報の提供や地域の自治会等の案内を行い、各行事等への参加の手続きの補助を行うほか、必要に応じて当該外国人に同行して各行事の注意事項や実施方法を説明するなどの補助を行う。

義務的支援

外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援

受入れ機関側の都合(人員整理・倒産等)により契約解除する場合、①業界団体等を通じた受入先に関する情報提供、②ハローワーク等への案内・同行補助、③推薦状の作成、④職業紹介(許可または届出がある場合)のいずれかを実施。求職活動のための有給休暇付与と離職時の行政手続き案内も必須。

義務的支援

定期的な面談の実施、行政機関への通報

支援責任者または支援担当者が、外国人本人および当該外国人の監督をする立場にある者と定期的な面談(3か月に1回以上)を実施。面談において労働基準法その他の労働に関する法令違反を知ったときは、労働基準監督署等の関係行政機関に通報すること。

🌐 外国人との面談は外国人が理解できる言語での実施が義務
⚑ 支援計画の作成は受入れ機関の義務・費用負担も受入れ機関

支援業務の全部を登録支援機関に委託した場合でも、支援計画の作成は受入れ機関が行う義務があります(登録支援機関による補助は可能)。また、支援に要する費用は受入れ機関等が負担し、外国人本人に負担させることはできません。

第4章

分野別協議会への加入と各種届出義務

出入国在留管理庁「雇用における注意点」第4・5項より

分野別協議会への加入(第4項)
📋 出入国在留管理庁「雇用における注意点」より

特定技能外国人を受け入れる全ての受入れ機関は、特定産業分野ごとに分野所管省庁が設置する協議会の構成員になることが求められます。協議会は、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応を行います。

  • 特定技能外国人を受け入れるすべての受入れ機関が加入義務を負う(分野ごとに所管省庁・手続き方法が異なる)。
  • 協議会への加入手続きの詳細は各分野所管省庁のホームページで確認すること。
  • 加入が遅れると次回のビザ更新申請に影響する場合がある。採用後速やかに手続きすることが重要。当事務所では協議会加入のコンサルティングも対応しています。
各種届出(第5項)
📋 出入国在留管理庁「雇用における注意点」より

受入れ機関・登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対し、各種届出を定期または随時に行わなければなりません。受入れ機関の届出不履行や虚偽の届出といった違反が発覚した場合、指導・罰則の対象となります。

受入れ機関の随時届出

届出の種類提出先区分
特定技能雇用契約及び登録支援機関との支援委託契約に係る変更・終了・新たな契約の締結に関する届出地方出入国在留管理局随時
支援計画の変更に係る届出地方出入国在留管理局随時
特定技能外国人の受入れ困難時の届出地方出入国在留管理局随時
出入国または労働関係法令に関する不正行為等を知った時の届出地方出入国在留管理局随時
外国人を雇い入れた時または離職した時に氏名や在留資格等の情報を届出ハローワーク(地方出入国在留管理局ではない)随時

受入れ機関の定期届出

届出の種類提出先区分
特定技能外国人の受入れ状況や活動状況に関する届出地方出入国在留管理局定期(四半期)
支援計画の実施状況に関する届出(1号のみ)地方出入国在留管理局定期(四半期)
⚠ ハローワーク届出はハローワークへ。入管ではありません

出入国在留管理庁の公式ページで明記されているとおり、「外国人を雇い入れた時または離職した時」の届出先はハローワーク(公共職業安定所)です。届出不履行・虚偽届出の場合は30万円以下の罰金の対象となります。また、届出義務の不履行が発覚した場合は指導・罰則の対象となり、次回のビザ更新申請にも影響します。

第5章

特定技能雇用における主なリスクと不法就労助長罪

「知らなかった」は免責されない。2025年6月より罰則が大幅に厳罰化

⚠ CRITICAL / 不法就労助長罪(入管法第73条の2)

2025年6月より罰則が大幅厳罰化
「知らなかった」「過失があった」は処罰を免れません

外国人に不法就労をさせたり、不法就労をあっせんした者は不法就労助長罪に問われます。故意でなくても、在留カードの確認を怠るなどの「過失」があれば処罰対象となります。2024年の入管法改正を受け、2025年6月より罰則が大幅に引き上げられました。違反した担当者個人だけでなく、法人(会社)にも罰金刑が科される「両罰規定」があります。

改正前の罰則
3年以下の懲役
300万円以下の罰金
またはこれらの併科
改正後(2025年6月〜)
5年以下の懲役
500万円以下の罰金
またはこれらの併科(大幅厳罰化)
両罰規定
担当者個人
+ 法人(会社)
会社そのものも罰金刑の対象
特定技能雇用に固有のリスク
リスク 1

在留期間切れのまま就労させるリスク

特定技能の在留期間は最長1年(分野により異なる)。本人任せにすると在留期限を超過することがあります。期限切れの外国人を就労させると不法就労助長罪の対象です。社内での在留期限管理が不可欠です。

リスク 2

業務範囲外の業務に従事させるリスク

特定技能の業務区分は厳格に定められています。許可された業務区分外の業務に従事させることは資格外活動となり不法就労となります。業務変更・兼務の際は在留資格との適合を必ず確認してください。

リスク 3

支援不履行による更新不許可リスク

支援計画の義務的支援を適正に実施していない場合、次回の在留期間更新申請が不許可となります。実施した記録・確認書への署名等がなければ実施したとは認められません。

リスク 4

届出義務の不履行リスク

定期届出・随時届出を履行していない場合、指導・罰則の対象となるほか、次回のビザ更新申請において不許可となるリスクがあります(入管の「雇用における注意点」にも明記)。

リスク 5

欠格事由該当による受入れ停止リスク

入管法・労働法令違反で有罪となった場合、5年間にわたって特定技能外国人を受け入れることができなくなります。ハローワーク届出不履行(30万円以下の罰金)も違反実績となり得ます。

リスク 6

採用・育成コスト喪失リスク

特定技能外国人は同一分野内での転職が可能です。支援義務の不履行・待遇への不満が離職に直結します。採用費・ビザ申請費・育成コストをかけた人材を失うことは最大のリスクの一つです。

第6章

人材定着への取り組みと退職時の手続き

採用コストを活かすための定着策と、退職・離職時に必要な届出

人材定着のための主なポイント

特定技能外国人は同一分野内での転職が認められています。義務的支援の9項目を「義務だから」と最低限で済ませるのではなく、外国人が「この職場で長く働きたい」と思える環境づくりにつなげることが定着の鍵です。

🌐 外国人が理解できる言語でのコミュニケーション

法令上、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・相談苦情対応・定期面談は外国人が理解できる言語での実施が義務です。業務指示・安全教育・評価フィードバックも伝わる形で行うことが、信頼関係と定着につながります。

📈 キャリアパスと昇給基準の明示

特定技能1号から2号へのステップアップ計画・技能向上に応じた昇給基準を入社時から明確に提示することで、長期就労のモチベーションが高まります。

⚖️ 公正・平等な処遇の徹底

同等業務の日本人と同等以上の報酬は法的要件です。また「外国人であることを理由に待遇面において差別的な取扱いがあってはならない」と入管の公式ページに明記されています。

💬 定期面談の質を高める

3か月に1回の定期面談は義務ですが、その質が定着に直結します。本人の不満・悩みを早期に把握し、必要な対応を取ることが退職防止につながります。面談記録の保管も義務です。

退職・離職時の主な届出義務
手続き・届出提出先・期限区分注意点
特定技能雇用契約終了の随時届出 地方出入国在留管理局 随時(届出義務) 雇用契約の終了が生じた場合に届出が必要。会社都合・自己都合を問わず届出義務がある
外国人雇用状況の届出(離職) ハローワーク/離職日の翌日から10日以内 随時(届出義務) 雇用保険被保険者資格喪失届を提出すれば兼ねることができる。届出怠慢は30万円以下の罰金
転職支援の実施(受入れ機関都合での契約解除時) ハローワーク等への同行など 義務(会社都合時) 義務的支援⑧に基づき、受入先情報の提供・ハローワーク等への案内・推薦状作成等を実施。求職活動のための有給休暇付与と行政手続き案内も必須
出国時の送迎(帰国時) 港・空港(保安検査場前まで同行・入場確認) 義務(帰国時) 義務的支援②に基づく。保安検査場の前まで同行し入場を確認することが義務。一時帰国は対象外
SUMMARY

受入れ機関が押さえるべき重要ポイント

出入国在留管理庁「雇用における注意点」に基づく

1
雇用契約の報酬額・労働時間等は日本人と同等以上。外国人であることを理由とした差別的取扱いは禁止
2
保証金の徴収・違約金契約は名目を問わず禁止。受入れ機関・支援機関・送出機関・ブローカーすべてが対象
3
支援計画の9項目はすべて義務的支援。計画の作成は受入れ機関の義務(登録支援機関への全部委託後も同様)
4
事前ガイダンス・生活オリエンテーション・相談苦情対応・定期面談は外国人が理解できる言語での実施が法令上の義務
5
支援費用は受入れ機関等が負担。外国人本人に負担させることは禁止
6
分野別協議会への加入は全受入れ機関の義務。加入手続きの詳細は各分野所管省庁ホームページで確認
7
届出不履行・虚偽届出は指導・罰則の対象。雇入れ・離職の届出先はハローワーク(入管ではない)
8
不法就労助長罪は2025年6月より5年以下・500万円以下に厳罰化。「知らなかった・過失があった」でも処罰対象
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※ 掲載内容は出入国在留管理庁の公式情報をもとにした情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。詳細は必ず原典をご確認ください。

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