特定技能
外食業分野
■在留資格「特定技能」があることは知っているが、準備する書類が多くて大変。
■外食業で外国人を雇いたいが、どのような在留資格を申請すればよいかわからない。
■技能実習を終了した外国人に引き続き働いてもらいたい。
■応募してきた外国人が在留資格を申請できるかわからない。
上記のようなお悩みお持ちの企業様は、国際行政書士金森勇征事務所へお問合せください。
👉国際行政書士金森勇征事務所へのお問い合わせ TEL:03−1111−1111
目次
【1】外食業分野における特定技能外国人の従事できる業務
【1号特定技能外国人】
1号特定技能外国人は、試験等で立証された能力を用いて、外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)に主として従事することとなっています(ただし、在留期間全体の一部の期間において「調理担当」など、特定の業務にのみ従事することも可能。)。
・ 飲食物調理:客に提供する飲食料品の調理、調整、製造を行うもの(例:食材仕込み、加熱調理、非加熱調理、調味、盛付け、飲食料品の調製 等)
・ 接客:客に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務を行うもの(例:席への案内、メニュー提案、注文伺い、配膳、下膳、カトラリー セッティング、代金受取り、商品セッティング、商品の受け渡し、食器・容 器等の回収、予約受付、客席のセッティング、苦情等への対応、給食事業所における提供先との連絡・調整 等)
・ 店舗管理:店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの(例:店舗内の衛生管理全般、従業員のシフト管理、求人・雇用に関する事務、従業員の指 導・研修に関する事務、予約客情報・顧客情報の管理、レジ・券売機管理、 会計事務管理、社内本部・取引事業者・行政等との連絡調整、各種機器・設 備のメンテナンス、食材・消耗品・備品の補充、発注、検品又は数量管理、メニューの企画・開発、メニューブック・POP 広告等の作成、宣伝・広告の 企画、店舗内外・全体の環境整備、店内オペレーションの改善、作業マニュ アルの作成・改訂 等)
○ あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(店舗において原材料として使用する農林水産物の生産、店舗における調理品等以外の物品の販売等)に付随的に従事することは差し支えない。
○ 1号特定技能外国人の雇用は直接雇用とし、フルタイム*で業務に従事するものであること。
(*本制度におけるフルタイムとは、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であることをいう。)
上記の通り、外食業分野の1号特定技能外国人は、外食業に関わるさまざまな業務をおこなうことができます。外食業内であれば、他の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)のような業務制限がほとんどありません。日本人を雇用する場合に近しい業務ができ、かつアルバイト雇用とは違い継続的な育成・スキルの蓄積などを行っていくことができます。業務内容のうちの一つとして、デリバリー業務、皿洗い、清掃を行うことも可能です。(注:調理も接客もないデリバリーのみの業務に従事することはできません。また、「皿洗いのみ」「清掃のみ」といった場合も従事することはできません。)。
【注】「風俗営業」 及び「性風俗関連特殊営業」を営む営業所においては、「飲食物調理」、「接客」、「店舗管理」の業務であっても、1号特定技能外国人を就労させることはできません。
【2号特定技能外国人】
〇 2号特定技能外国人は、試験等で立証された能力を用いて外食業全般及び店舗経営の業務について、トータルで管理できる人材として、従事する必要があります。そのため、例えば、店舗経営・管理の業務に加え、接客、飲食物調理を行うことも、差し支えありません。
店舗経営:店舗をトータルで管理するために必要な「飲食物調理」、「接客」、「店舗管理」の業務以外のもの(例:店舗の経営分析、経営管理、契約に関する事務等)
○ あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(店舗において原材料として使用する農林水産物の生産、店舗における調理品等以外の物品の販売等)に付随的に従事することは差し支えない。
○ 1号特定技能外国人の雇用は直接雇用とし、フルタイム*で業務に従事するものであること。
(*本制度におけるフルタイムとは、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であることをいう。)
【1号特定技能外国人と2号特定技能外国人の違い】
1号特定技能外国人 | 2号特定技能外国人 | |
在留期間 | 1年・6カ月・4カ月ごとの更新 (通算5年まで) | 3年・1年・6カ月ごとの更新 (更新の上限なし) |
永住権の取得 | できない | 要件を満たせる可能性がある |
技能水準 | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能 | 熟練した技能 (各分野の技能試験で確認) |
外国人支援 | 必須。支援計画の策定実施は義務 | 支援計画の策定実施は不要 |
家族の帯同 | 不可 | 条件を満たせば可能 |
日本語能力水準試験の有無 | ある | ない |
試験の実施状況 | 国内外で実施中(2023年4月現在) | 2024年3月より実施予定 |
【2】特定技能外国人を受け入れられる外食業分野の事業者又は事業所
特定技能「外食業分野」の受け入れは日本標準産業分類のうち、「76 飲食店」「77 持ち帰り・配達飲食サービス業」に該当する飲食店であれば可能です。大手チェーンでも個人経営でも問題ありません。
(1)客の注文に応じ調理した飲食料品,その他の飲食料品をその場で飲食させる飲食サービス業(例:食堂,レストラン,料理店等の飲食店,喫茶店等)
(2)飲食することを目的とした設備を事業所内に有さず,客の注文に応じ調理した飲食料品を提供する持ち帰り飲食サービス業(例:持ち帰り専門店等)
(3)客の注文に応じ,事業所内で調理した飲食料品を客の求める場所に届ける配達飲食サービス業(例:仕出し料理・弁当屋,宅配専門店,配食サービス事業所等)
(4)客の求める場所において調理した飲食料品の提供を行う飲食サービス業(例:ケータリングサービス店,給食事業所等)
なお、飲食サービス業を行っている事業所に当たるか否かを判断するに当たっては、飲食サービス業を営む部門の売上げが当該事業所全体の売上げの主たるものである必要はありません。このため、例えば、宿泊施設内の飲食部門や医療・福祉 施設内の給食部門などで就労させることも可能です。
【注1】「風俗営業」 及び「性風俗関連特殊営業」を営む営業所においては、1号特定技能外国人を受け入れすることができません。
【3】外食業分野1号特定技能外国人の基準について
外食業に従事する1号特定技能外国人は、各分野の特有の要件(①又は②)と全分野に共通する要件を満たさなければなりません。
①以下の試験に合格した者
■技能水準(試験区分)「外食業特定技能1号技能測定試験」
1号特定技能外国人として外食業分野の業務に従事する場合には、技能試験及び日本語試験の合格等が必要となります。
試験は「衛生管理」「飲食物調理」「接客全般」の3科目で出題されます。
参考:OTAFF 特定技能1号技能測定試験 外食業国内試験
■日本語能力水準「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」 又は日本語能力試験(JLPT)(N4以上)」
日本での就業や生活が可能な日本語能力を測るため、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」 又は日本語能力試験(JLPT)(N4以上)」に合格する必要があります。
②「医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を良好に修了した者は、上記①の試験は免除されます。また、「医療・福祉施設給食製造」以外の技能実習2号を良好に修了した 者については、日本語能力試験は免除されます。
上記以外の要件は、全分野共通の要件を満たしている必要があります。
1号特定技能外国人の申請要件(全分野共通)
【4】外食業分野2号特定技能外国人の基準について
熟練した技能を持って、飲食料品全般(酒類を除く飲食料品の製造・加工及び安全衛生の確保)に関する作業を自らの判断で適切に行えることとします。また、飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理できる者としての実務経験が必要です。
以下いずれも満たす必要があリます。
①外食業特定技能2号技能測定試験」
②「日本語能力試験(N3以上)」
③実務経験
2年以上の管理等実務経験が必要。食品衛生法の営業許可を受けた飲食店において、複数のアルバイト従業員や特 定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助 する者(副店長、サブマネージャー等)としての実務経験(ただし、当該経験を 終えてから、別途農林水産大臣が定める期間を経過していない者に限る。)を要 件とする。当該実務の経験を終えてから、10年をこえてはならない。
(*1)令和5年6月9日の運用要領改正の時点で、外食業分野の1号特定技能外国人として本邦において就労している期間が2年6か月を超える者については、運用要領改正の翌日以降特定技能1号の在留期間上限の日までの日数から6か月を減じた期間を目安とした指導者等実務経験を積んでいること。(例)改正の日時点で外食業分野の1号特定技能外国人としての在留期間(再入国期間を含む)が「3年と20日」となり、運用要領改正の翌日から特定技能1号の在留期間の上限の日までの残日数が、「1年 11 か月と 10 日(23 か月と 10 日)」の場合、実務経験は、そこから6か月を減じた「1 年 5 か月と 10 日(17 か月と10 日)以上」必要です。
(*2)「複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督」とは、2名以上のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督することを指し、
指導・監督を受ける者の国籍、在留資格、職責等は問いません。また職場の状況やシフトの都合等により、常時2名以上いる体制でなくとも差し支えありません。
(*3)この場合の「店舗管理を補助する者」とは、店長や事業所責任者が行う店舗管理(衛生管理全般、求人・雇用に関する事務、顧客情報の管理、会計事
務管理、食材・消耗品・備品の補充・発注・数量管理等)の業務を補助するものとし、例えば、副店長、サブマネージャー、サブリーダー、サブチーフ、
班長、担当部門長、事業所副責任者等のような役職が想定されますが、店長、事業所責任者などとして、店舗管理に従事することも含みます。
上記以外の要件は、全分野共通の要件を満たしている必要があります。
2号特定技能外国人の申請要件(全分野共通)
【5】受入企業(外食業分野特定技能所属機関)が満たすべき条件①
[1]労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
[2]1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
[3]1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
[4]欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
[5]特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
[6]外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
[7]受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
[8]支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと
[9]労働者派遣の場合は,派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められる者であるほか,派遣先が[1]~[4]の基準に適合すること
[10]労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
[11]雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
[12]報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
[13]分野に特有の基準に適合すること「分野所管省庁の定める告示で規定」
受入企業(特定技能所属機関)が満たすべき条件① 詳細
【6】受入企業(外食業分野特定技能所属機関)が満たすべき条件②「雇用契約内容についての基準」
以下が企業と外国人とで結ぶ「雇用契約」について注意すべき項目です。クリアしているかは、「雇用条件書」や「報酬に関する説明書」などの書類を提出することで入管が判断します。
(1)従事させる業務に関するもの
(2)所定労働時間に関するもの
(3)報酬等に関するもの
(4)一時帰国のための有給休暇取得に関するもの
(5)派遣先に関するもの
(6)帰国担保措置に関するもの
(7)健康状況その他の生活状況把握のための必要な措置に関するもの
(8)分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの
受入企業(特定技能所属機関)が満たすべき条件②「雇用契約内容についての基準」
【7】受入企業(外食業分野特定技能所属機関)が満たすべき条件③「1号特定技能外国人支援計画の作成」
1号特定技能外国人を受け入れる受入れ機関は,当該外国人が「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成し,当該計画に基づいて支援を行わなければなりません。この支援の全部又は一部を登録支援機関[注1]に委託することも可能です。なお、2号特定技能外国人に対しては、支援計画は不要です。
①事前ガイダンス
雇用契約締結後,在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に,労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について,対面・テレビ電話等で説明
② 出入国する際の送迎
入国時に空港等と事業所又は住居への送迎、帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
③ 住居確保・生活に必要な契約支援
連帯保証人になる・社宅を提供する等・銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続の補助
④ 生活オリエンテーション
円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー,公共機関の利用方法や連絡先,災害時の対応等の説明
⑤ 公的手続等への同行
必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行,書類作成の補助
⑥ 日本語学習の機会の提供
日本語教室等の入学案内,日本語学習教材の情報提供等
⑦ 相談・苦情への対応
職場や生活上の相談・苦情等について,外国人が十分に理解することができる言語での対応,内容に応じた必要な助言,指導等
⑧ 日本人との交流促進
自治会等の地域住民との交流の場,地域のお祭りなどの行事の案内や参加の補助等
⑨ 転職支援(人員整理等の場合)
受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや,推薦状の作成等に加え,求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供
⑩ 定期的な面談・行政機関への通報
支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し,労働基準法違反等があれば通報
注1 登録支援機関とは、特定所属機関(受入れ企業)からの委託を受け、特定技能1号外国人が、特定技能1号の活動を安定的かつ円滑に行うための、在留期間における支援計画の作成、実施を行う機関になります。特定技能外国人の支援は、書類作成等で専門的な知識が必要になるケースもあり、雇用主である受入企業(特定技能所属機関)が、自身で支援を行うのが難しいこともあります。そこで、登録支援機関が、特定技能所属機関に委託される形で、特定技能外国人の支援計画書の作成、実施を代わりに行っていくのです。特定支援機関として登録は個人でもでき、団体としては「業界団体」「社労士」「民間法人」「行政書士」など様々です。支援計画書の作成が行える個人、団体であれば、原則として登録支援機関として業務を行うことができます。
【8】受入企業(外食業分野特定技能所属機関)が満たすべき条件④ 食品産業特定技能協議会への加入
【協議会の目的】
構成員の連携の緊密化を図り、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか、地域ごとの人出不足の状況を把握し、必要な対応等を行います。飲食料品製造業分野と外食業分野が共同で設置しています。
【構成員】
受入れ機関(特定技能所属機関)はこの協議会の構成員になることが求められています。加入後は農林水産省及び協議会に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。特定技能所属機関が1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合には、当該登録支援機関は、支援を委託される特定技能外国人に係る在留諸申請の前に、協議会に加入し、加入後は農林水産省及び協議会に対し、必要な協力を行うものでなければなりません。
【加入のタイミング】
初めて特定技能外国人を受け入れてから4か月以内に協議会に加入してください。受入れ前に加入する必要はありません。
4か月以内に食品産業特定技能協議会に加入していない場合には、特定技能外国人の受入れができなくなりますのでご注意ください。
また、2人目以降の受入れの際に、改めてご加入いただく必要はありません。
【会費】
当面の間、入会金や年会費等の費用は徴収いたしません。
特定技能在留資格の申請手続きは、受入企業満たすべき申請要件が多く、かつ提出する資料がとても多いです。手間を省くため、かつ正確に申請を行うべく、早いうちから行政書士に相談しましょう。