技能実習の経過措置をわかりやすく解説
令和9年4月1日から「育成就労制度」がスタートし、現行の「技能実習制度」は大きく変わります。
では、すでに技能実習を行っている方や、これから技能実習で受入れ予定の企業はどうなるのでしょうか。
ここでは、法令(附則)に基づく経過措置を、企業や監理団体の方向けに分かりやすく整理します。
1. いま技能実習をしている人はどうなるか
1-1. 施行日より前から技能実習中の方(附則8条1項・9条1項)
- 育成就労法の施行日:令和9年4月1日
- この日より前に認定された技能実習計画に基づいて
- 施行日時点で、すでに日本で技能実習を行っている人
は、その後も「技能実習」の在留資格のまま、技能実習を続けることができます。
イメージ図
令和8年 令和9年4月1日(施行日) その後
│――技能実習中――│――――――――――技能実習を継続――――――――――│
※ 在留資格は「技能実習」のまま継続可能
2. 施行日以降に「新たに」技能実習を始める場合
ここが少し複雑なので、入国時期と計画認定の時期に分けて整理します。
2-1. 施行日前に「技能実習計画認定+在留資格認定証明書交付」を受けている場合
(附則8条4項・9条2項)
次の両方が令和9年4月1日より前に終わっている方です。
- 技能実習計画の認定を受けている
- 在留資格認定証明書(いわゆる「認定証」)の交付も受けている
この場合:
- 令和9年6月30日までに入国する必要があります。
図:スケジュールのイメージ
令和9年4月1日(施行日) 令和9年6月30日
│────────────────────────│
この期間内に日本へ入国する必要あり
2-2. 施行日前に「計画認定申請だけ」している場合(附則8条4項・9条2項)
- 令和9年4月1日より前に、技能実習計画認定の申請をしている
- ただし、計画の「認定」自体は施行日以降になる可能性があるケース
この場合でも、次の条件が必要です。
- その技能実習計画の実習開始日が、令和9年6月30日以前であること
- 原則として、令和9年6月30日までに入国すること
※施行日(令和9年4月1日)以降に新たに技能実習計画の認定申請をすることはできません。
実務上のポイント(企業・監理団体向け)
- 令和9年4月1日以降、「新規の技能実習計画申請」はできない
→ 新たな受入れは、原則「育成就労」での検討が必要 - すでに申請済みの案件は、
- 認定が施行日後になる場合でも、
- 実習開始日と入国日が令和9年6月30日までであることが条件
3. 技能実習1号 → 2号 → 3号 への進行
3-1. 施行日以降に技能実習1号を修了した場合(附則9条3項)
- 施行日以降に技能実習1号を修了した方は、
- 引き続き技能実習2号へ進むことが可能です。
技能実習1号(修了) → 技能実習2号へ進級OK
3-2. 技能実習3号へ進むための条件(附則9条3項)
- 施行日以降に技能実習3号へ進むには、施行日時点(令和9年4月1日)で、
技能実習2号を1年以上行っていることが必要です。
例で説明
- Aさん:令和8年4月1日から技能実習2号を開始
→ 令和9年4月1日時点で「2号を1年以上」行っている
→ 条件を満たすので、3号に進むことが可能 - Bさん:令和8年10月1日から技能実習2号を開始
→ 令和9年4月1日時点では、2号は6か月のみ
→ 「1年以上」の条件を満たさないため、
施行日以降に3号へ移行することはできない
4. 技能実習計画の変更・実習の中断・再開(附則9条4項)
施行日以降も、
- 事情の変更により技能実習計画の変更が必要になった場合は、→ 引き続き、技能実習計画の変更認定を受けることができます。
変更認定を受けた後は、
- 変更後の技能実習計画に基づき、技能実習を継続・再開することが可能です。
典型的な変更例
- 実習内容の一部変更
- 実習実施場所の変更
- 受入れ人数の調整
- 一時帰国や体調不良に伴う中断 → 再開時の計画変更 など
5. 在留期間の更新について(附則8条2項2号・8条5項)
5-1. 施行日時点で技能実習中の方/施行日以降に技能実習で入国する方
次のいずれかに該当する外国人は:
- 令和9年4月1日時点で「技能実習」の在留資格で日本に在留している
- 令和9年4月1日以降に「技能実習」の在留資格で新たに入国する
いずれも、
施行日以降も引き続き、「技能実習」の在留期間の更新を受けることができます。
5-2. 施行日前に更新申請をしているケース
- 令和9年4月1日より前に
在留期間更新許可申請をしている場合も、→ 施行日後に、引き続き在留期間更新の対象となります。
6. 在留資格の変更について(附則8条2項1号・8条5項)
6-1. 技能実習1号 → 2号、2号 → 3号 への変更
次のいずれかに当てはまる方は:
- 施行日時点で「技能実習」の在留資格で在留している
- 施行日以降に「技能実習」の在留資格で入国する
いずれも、施行日以降も
- 技能実習1号 → 2号への在留資格変更
- 技能実習2号 → 3号への在留資格変更
を行うことができます。
6-2. 一度「技能実習以外の在留資格」に変えた場合の注意点
- 施行日以降に、
- 「技能実習」から、たとえば「特定技能」「留学」「日本人の配偶者等」など
別の在留資格に変更した場合
- 「技能実習」から、たとえば「特定技能」「留学」「日本人の配偶者等」など
→ その後、再度「技能実習」へ在留資格変更をすることはできません。
一度「技能実習以外」に出てしまうと、
「技能実習」に戻るための在留資格変更は経過措置の対象外です。
6-3. 施行日前に変更申請をしているケース
- 施行日前に在留資格変更許可申請を行っている場合も、→ 施行日後に、引き続きその在留資格変更の対象となります。
7. 企業・監理団体が押さえておきたいポイントまとめ
7-1. 新規受入れのスケジュール感
- 令和9年4月1日以降、新しい技能実習計画の申請はできません。
- すでに認定済み・申請済みの案件は、
- 実習開始日:令和9年6月30日まで
- 入国日:原則、令和9年6月30日まで
7-2. 既存実習生の継続
- 施行日前からいる技能実習生は、
→ 原則として技能実習の在留資格のまま継続可能 - 在留期間更新・1号→2号・2号→3号の資格変更も、
→ 経過措置により引き続き可能(一定の条件あり)
7-3. 育成就労・特定技能への移行戦略が重要
- 「これから新たに外国人を受け入れたい」企業は、
- 技能実習ではなく、育成就労や特定技能での受入れを前提にした設計が必要となります。
- 既存の技能実習生についても、
- 技能実習修了後の育成就労・特定技能への移行
- 継続就労・人材定着のための中長期プラン を、早めに検討しておくことが重要です。
8. よくあるご相談の例
- 「令和9年以降も、今の技能実習生を3号まで続けられますか?」
- 「令和9年に新たに中国人実習生を受入れる予定ですが、技能実習で行くべきか、育成就労に切り替えるべきか?」
- 「すでに申請した技能実習計画が、施行日後に認定されそうな場合、スケジュールはどう考えればよいですか?」
- 「技能実習から特定技能・育成就労への移行を前提に、社内の人員計画を立てたい」
こういったケースは、実際のスケジュール(入国時期・在留期限)や、個々の技能実習生の状況によって対応が変わります。

